気温の低下に伴い、体の冷えが体調不良を引き起こすリスクが高まります。特に冷えは血流の停滞を招き、自律神経の乱れや免疫力の低下を引き起こすことが知られています。本記事では、冷え対策として有効な「お灸」について、科学的根拠とともに解説します。
お灸の科学的根拠
お灸の温熱刺激は、皮膚表面だけでなく深部の筋肉や血管、リンパにも作用します。研究によると、お灸の熱刺激により副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌が促進され、抗炎症作用やストレス緩和効果が期待できると報告されています(Takahashi et al., 2017)。また、ヒートショックプロテイン(HSP)が増加することで細胞修復機能が向上し、筋肉疲労の回復や免疫力強化に寄与することが確認されています(Moriyama et al., 2019)。
お灸の主な作用
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温熱作用
温熱刺激が血流を促進し、酸素や栄養素の供給を改善することで、冷え性や筋肉のこわばりを軽減します。また、血液循環の改善は末梢神経障害の予防にもつながります。
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経穴刺激作用
鍼灸医学では、経穴(ツボ)の刺激が自律神経系や内分泌系に影響を与えることが示唆されています。例えば、三陰交の灸治療は月経不順や更年期障害の改善に有効とされ、臨床試験でもその効果が示されています(Kim et al., 2020)。
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アロマテラピー作用
お灸に使われる艾(もぐさ)の原料であるヨモギには、シネオールという成分が含まれ、鎮痛・抗炎症作用が確認されています。シネオールの芳香成分は、副交感神経を優位にし、ストレス軽減やリラックス効果をもたらします。
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免疫力強化作用
お灸による温熱刺激が白血球の活性を高め、免疫系の働きを促進することが示唆されています(Zhang et al., 2018)。また、深部体温の上昇により、免疫細胞の移動が活発になり、ウイルスや細菌への抵抗力が向上することが分かっています。
お灸は単なる温熱療法ではなく、免疫機能の向上やホルモン分泌の調整を通じて、冷え性や慢性疾患の改善に寄与します。鍼灸治療が不安な方も、お灸やツボ押しといった選択肢があるため、ご自身に合った方法をぜひご相談ください
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