本日は『距骨骨折』について記事をまとめてみました。
捻挫と誤診されてしまいがちな距骨の骨折です。それではどうぞ。
距骨骨折
距骨骨折は比較的珍しい骨折です。表面の60%が関節軟骨におおわれていて血管が入る部位が限られていて骨折で栄養血管が損傷されるので阻血性壊死になりやすく治療するうえで注意が必要である。
○分類
①頸部骨折(一番多い)
②体部骨折
③後突起骨折
○発生機序
①頸部骨折 高所から落ちて足の関節が伸展(背屈)強制によって距骨頸部が脛骨の遠位端前縁に衝突して骨折する。
②体部骨折 高所から落ちて踵をついて脛骨と踵骨で圧迫されて骨折する。
③後突起骨折 足関節の屈曲(底屈)強制によって後突起が脛骨遠位後縁とぶつかり起こる。この部位に時々みられる三角骨と見間違えないように気を付ける。 三角骨は過剰骨で骨片のように辺縁が尖鋭でなくて滑らかな線になる。
○転位
①頸部骨折 距骨体部は踵骨と脛骨との間での正常位置を保つこともあって足底側に屈曲して逆立ちして、踵骨は距骨体部から離れて前方に移動するものもある。または距骨体部が下腿果部から完全に後方に脱臼して脛骨後面とアキレス腱との間に挟まれてしまうものもある。 骨折した距骨頸部は舟状骨と共に背側へ移動する。 頸部の単なる圧迫骨折や陥凹骨折のこともあり。
②体部骨折 圧迫骨折で時々距骨の下面、上面が圧迫され潰れる。後部骨片が後方に転位することもある。
③後突起骨折 骨片は後ろに転位する。
○症状
①転位のない骨折はひどい捻挫と間違えてしまうことがある。捻挫と比較して腫れがひどく、距骨部の限局性圧痛や荷重痛、足関節背屈障害がでる。
②転位があると今度は脱臼と見間違えやすい。転位が著明で骨片の足背や後方突出したものは見た目で判定しやすい。
③頸部骨折では足関節底屈、回外位をとり、しばしば外反扁平足になる。
④距骨が前後に割れてしまい脛骨の下端がその間に入り込んでしまうと両果が低くなる
。 ⑤骨片が足関節の後ろに転位する場合、後脛骨道明寺を圧迫してしまうか、皮膚を内側から圧迫して壊死を起こす。この際、長母趾屈筋腱が牽引されてしまい足の第一指は直角に足裏側に屈曲する。これが有名な『ナウマン症候』また脛骨神経圧迫により足裏の感覚麻痺を起こしてしまう。
○治療方法
ひどい圧迫骨折、転位の大きいものは手術
①頸部骨折 距骨体部と頸部が離れ骨体部が逆立ちし踵骨が前方に偏位しているものは前足部を強く足裏側に屈曲、踵骨を末梢方向に牽引して足裏側に屈曲した足部を後方に押し、そのあとに踵骨牽引を緩めて整復する
②体部骨折 助手に下腿を固定してもらい、足部を末梢に牽引し底屈させて内転させて踵の方向に圧迫して整復。
③後突起骨折 患者さんをうつ伏せにして膝を直角に曲げる。助手に足の先端を持たせて足関節を背屈強制させる。アキレス腱の両側より両母指を転位骨片に当てて足指の方向に直圧を加えていく。
固定は軽く背屈させ4~5週間で固定除去、体重負荷を許す。 ○予後 距骨骨折は一般に荷重痛や足関節の可動制限などの機能の障害を残す。その原因は距骨の各関節面の不適合による変形と体部の阻血性壊死である。
以上になります。
高所から落下したりなど腫れがひどい場合はそのままにしておかず適切な医療機関を受診しましょうね!
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